だらだらと日々のことを呟いています。
たま〜にカカイルカカネタがあったり、なかったり。
その他萌えたことも語ってます。
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星に願いを
「ふんふんふ〜ん♫」
若干音の外れた鼻歌でイルカは往来を歩く。上機嫌だった。
久しぶりに会った同期と酒を飲み交わし、思い出話に花が咲いたというわけだ。
北風がイルカの頬を撫でる。
夏が過ぎてすっかり季節は秋だ。
夜にもなれば肌寒く、しかし火照った身体には心地よい風であった。
朧げな思考でイルカは空を見上げた。
商業施設の発展のめざましい木の葉の里は至る所で電気の光に溢れているため星など見えない日の方が多いくらいであったが、この日は寒くなったせいかいつもよりも輝いているように見えた。
「オリオン座よっく見えるなあ。」
冬の星座を確認してイルカは独り言を呟く。
「へぇ、オリオン座というの。」
「!?」
イルカ一人と思われたその道沿いに突然声が聞こえてイルカはぎょっと目を見開いた。
すると気配を感じさせず、男が段になっているところに腰掛けてこちらを見ていた。
「あ、れ、カカシ先生?」
イルカは瞬きして男の名を呼ぶ。
マントを上半身ですっぽり覆い、任務帰りだろうかその格好は煤汚れていた。
「怪我してるんですか?」
思わぬ男の登場にすっかり酔いが覚めた。
こんな誰もいないところで腰を下ろしているのは動けないのではとイルカは緊急用の笛を取り出した。
「ああ違う違う。
ただすんげー疲れたところに暢気な顔した中忍を見たんで苛めたくなって寄っただけ。」
「は?」
一瞬意味がわからず首を傾げたが、カカシの呆れたような溜息にイルカの沸点があがる。
「べ、別にいいじゃないですか!
確かにあなたの任務はさぞ大変だったでしょうけど、俺だって毎日暢気に過ごしてるわけじゃ、」
「はいはい、わかってますって。あーしんどー。」
またしてもイルカの、自分の沸点が上がるのを感じて顔が引き攣る。
「はたけ上忍、任務お疲れ様でした。私これで失礼致します。」
こういうときは流すのがいいとイルカはさっとその場から立ち去ろうとしたが、カカシが引き止めた。
「えーちょっと待ってよ。」
「・・・・。」
(何がちょっと待てよ、だ!せっかくいい気持ちで寝ようと思っていたのに!)
「あのね、俺ね、誕生日なのよ。」
「・・・・はい?」
この場から離れたい一心であったが、カカシの思わぬ発言にイルカはまたしても目を瞬かせた。
「何かください。」
「何かって、」
(つうか、この人子供っぽいな・・・)
あまり喋ったことがないせいか噂と立ち姿のカカシでかなり威厳ある上忍の姿をイメージしていただけに男のこの言動には面くらう。
「そんなこと急に言われても、」
「くださいよー。」
しつこく迫るカカシに酒の入ったイルカは沸点が低い。
それまでのやり取りのせいもあって一気に爆発した。
「せっっっかく楽しく一杯やって、明日から連休だし、いい気持ちで帰ってたんだよ、俺は!!!!」
イルカの怒声は子供三十人を硬直させるだけの威力がある。
その音量に今度はカカシが目を瞬かせた。
カカシが口を閉じてこちらを凝視するのを見てイルカも我にかえって、はっと顔を顰めた。
上忍になんてことを、と思う前にカカシが口を開く。
「・・・ほ、明日、休みなの?」
「・・・・ええ。」
きまり悪そうにイルカがそう答えると、カカシが見た事も無いような顔で笑った。
「俺と温泉行こうよ。」
「はあ?」
「俺も明日から連休なのよ。行きましょうよ。」
「はあ。」
「じゃ、そうと決まればさっさと帰って寝なくちゃ。じゃあね、イルカせんせい。」
そう言うや否やカカシが煙をあげて消えた。
「な、なんなんだ。」
唖然とした表情でイルカはしばらくその煙を見つめた。
朝陽が差し込むなかイルカは家のチャイムの音で目を覚ました。
覚めたと同時に昨夜の酒が頭に響く。
若干胸焼けも感じて完全に二日酔いだった。
体調の優れないイルカをよそにチャイムは鳴り続ける。
誰だよ!ナルトか!?とイルカは苛つきながら玄関の扉をあけた。
「はいはいはいはい、どなた、」
扉をあけた先には怪しい覆面の男。
「迎えにきましたよ。」
絶対にここには来る筈の無い男の登場にイルカはぽかんと口を開けた。
「え、なんで、ここに、」
「温泉、行くっつたでしょ。」
「・・・・なんですか、それ。」
イルカの怪訝な表情にカカシは、あれ?と首を傾げた。
そのカカシの態度にイルカの顔がだんだん強張る。
というのもこのやりとりで徐々に昨日の記憶が戻ってきたからだ。
カカシに会うまで一切覚えていなかったというのに。
さて、この偏屈で階級の上の男にどういって帰ってもらうか、イルカは背中に嫌な汗が伝うのを感じながら最初の一言をなんとか振り絞った。
END 2012.10
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